むしろ、喫煙こそファシズムに近い位置にいる

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陰謀論を信じたくはないのだが、ことタバコに関しては国家と大企業の汚い謀略が渦巻いているに違いない、と思ってしまう一冊。
禁煙ファシズム」なんて言葉もあるが、実際はむしろ逆で、タバコのほうにこそさまざまな既得権が与えられていて、それらが次々と暴かれていく。アスベストがあれほど騒がれているのに、もっと危ないタバコがなぜほったらかしなのか。健康増進法は罰則もなければ仕切りの無い分煙スペースを野放しにしたりのザル法=世間へのエクスキューズでしかない。タバコの自販機は路上では目立つところにありながら、店員の監視の目はしっかりシャットアウトしているから子どもでも簡単に買えるのはどういうことだ。等々。
神奈川県が条例でパチンコ屋や居酒屋でも喫煙を規制することを提案したそうで、ぼくは当初これもファッショ的なものかと思っていたのだが、客の副流煙で従業員が健康を害する実例を見せられたりすると、公共の福祉という観点から喫煙の自由はある程度制限されてしかるべきだろう、と思う。
とにかく、書影をクリックして目次をざっと眺めるだけでもタバコの恐ろしさがよく分かる。読むとなおさらなので、まだ吸っている人にはオススメしておく。
そういや小谷野センセイの主張は当初、タバコの弾圧を許せば他の娯楽も危うくなるぞ、という意味だと思っていたのだが、最近は他の娯楽も一緒に弾圧されるぶんには構わない、というふうにも読めるのだが。