引き続き「格差突破力」について

きのうの書評の続き。赤木智弘さんを意識したと思われる部分はここ。

ワーキングプアを続けている若い人の中には、やけになって戦争でも起きればよい、という人がいます。これで喜ぶのは、戦争を起こして利益を得ようと考えている上流階級の人です。(59頁)

一刀両断。一見福島みずほ等の赤木批判に似ているのだが、著者は右も左も信用していないようである。ポジショントークにとらわれることなく、変幻自在に世の中の「不正」を撃つ。
だから外国との関係においても、北朝鮮などの特定アジアを悪者にして済ませるようなポジションは取らない。むしろ北朝鮮が攻めて来るよう日米が仕向ける危険性すらある、国家権力とはそういうものだ、と主張する。

権力者は(中略)外国を巧妙に挑発して、攻めてこさせることさえできるのです。真珠湾攻撃がそうです。(中略)日本人はアメリカの仕掛けた「攻め込め詐欺」に引っかかったのです。(140頁)

戦争や国家の本当の恐ろしさを知らない「お坊ちゃま」評論家はしばしば勇ましげなことを言うが、それに騙されてはいけない。戦争になったら「逃げるが勝ち」。

この著者の見取りは説得力がある。なるほど、非国民と言われてナンボ、言いたい奴には言わせておけと開き直るのも賢い身の処し方だろうと納得できる。