DoGA CGアニメコンテスト

特に大阪方面の人はネタバレ注意ね。


数あるCG動画のコンペティションのなかでも、どちらかというとオタク寄りのイメージが強いこの大会。DOGA代表かまた氏によれば「女性の上位入賞者が増えている」のだそうだ。氏がキーワードに挙げたのは「同人」。もともとコミケの参加者にも女性は多くいて、個人レベルでCGを作ることが年々容易になるにつれて、CG作家の男女比が同人誌作家のそれに近づいているのではないか、というわけだ。


近年の3DCGソフトの進化にも関わらず、ことこの大会では2D作品の躍進が目立っている。フォトショップで描いた「萌え」タッチの絵を動かした作品というのは、他のところではあまりお目にかかれないタイプの作品だろう*1
西あすか「春」のような、少女漫画的リリカルさを前面に押し出した作品が出てくるのはDOGAならでは。


椙本晃佑「the camelots『コリー』」・青木純「将棋アワー」もフォトショップ使用作品。前者は友人のバンドの曲に映像を付けたというもので、いわば「インディーズPV」の可能性を開いた。映像に勢いがある。
後者はTVの将棋番組をパロディに仕立てたお笑いモノ。こういう実写映像をネタにするのは大変な技術が要るはずだ。少しでも実物と違えばそのアラが気になって仕方ないはずだから。


他にもスタジオぽぷり「反重力ブーツで学校に行こう」など、コメディタッチの作品は強い。一方で受け手の涙腺に働きかけるタイプの作品も感動的なものが揃っている。
吉田暁「花の翳」・丸山薫「星宿海」「吉野の姫」は美麗な人物造形と精緻な脚本がマッチした名作。「吉野〜」は反戦のメッセージをちりばめつつ、キャラにはツンデレの要素もあって興味深い。


シーグラフのような日本国外のコンペで日本人が活躍するように、日本国内のコンペに外国人が応募してくることも珍しくない。チャン・ヒョンユン「パパが必要なの」は韓国からの応募。作家を生業としている主人公のモノローグで物語が展開していく「私映画」的な手法を使いながら登場人物は狼と兎と鹿と亀と子供というギャップで笑わせるのに、なぜか物悲しく、でも心が温まる。
韓流の流れは良い作品を良いと評価することには関係ないだろうが、かの国に受け手のハートをグッと掴めるストーリーテラーが数多くいることを伺わせる*2


作品寸評以外のことは明日書きます。補足ももしあれば明日。

*1:デジハリ出身者の作品http://school.dhw.co.jp/works/contest/はこの対極にある。こちらははじめに3DCGありきであるから、どちらかといえば「アート」寄りと言える。

*2:一部の韓国嫌いの人たちの中には、かの国のサブカル作品を貶めて安心する傾向が散見されるが、そうやって侮っているうちに国内クリエイターが追い越されてしまえば、逆に日本の国益を損なうことになると思ったりもする。