コバルト4月号

表紙が羽海野チカひびき玲音のもいいけどこれも新鮮。

今月のマリみては「マリア様がみてる桜組伝説〜」
今までのマリみてとは趣向を変えたファンタジー仕立て。今野緒雪はもともとファンタジーを多く書いているので不思議なことではないのだが、マリみてから入ったぼくは正直面食らった。

あるいは「こんなのマリみてじゃない」なんて感想も出てきそうなくらい冒険した内容。白状するとぼくもちょっと思った。現実をモチーフに作られた作品世界に「非科学的*1」な要素が持ち込まれると違和感を覚えるのだ。

ところが読み進めていくとなかなか良い。二年にだけ存在する「桜組」の謎をキーポイントにして、さまざまな少女のエピソードがオムニバスで語られる。「ファンタジー*2」的な要素がマリみてワールドに収斂されて、違和感なく融合されている。

作家が「書きたいモノ」と読者が「書いて欲しいモノ」はしばしば食い違う。今野の中でそのギャップが渦を巻いた結果が「桜組伝説」なのではないか、とぼくは邪推している*3

*1:「魔」とかいう類のものの存在は科学をもって証明できないけれど、将来それが可能になるかもしれない。だからここではカッコつきで使用する

*2:この単語もカッコつきのほうがいいのだろう。リリアンでの高校生活自体一種のファンタジーみたいなものだから

*3:もっとも、そのギャップをうまくすり合わせて、読者を納得させつつ自分の書きたいメッセージを詰め込むのがプロだと思う。今野はその点、読者に良質の読後感を与えつつ自らの世界観を確立することに成功していると思う