きょうの朝日生活面

「相談室」の回答者は室井佑月。相談内容はこんなの。

32歳独身の女です。今、就活中ですが、面接に落ちてばかりで自身をなくしています。正社員はもちろん、バイト、パートでも厳しく、正直へこんでいます。やはり企業は若い人がいいのでしょうかね。面接態度は悪くないと思いますし、経験も多少はあるんですが……。どうしたらいいのか、わからなくなっています。(強調:yamzakura)

コレが現実。「就職できないできないって騒いでる奴は、結局努力が足りないんじゃね?」というありがちな言説は誤っている。そもそも三十代の人を雇う気がある企業が劇的に少ないのだから、個人の努力は関係ない。

で。回答者は室井祐月なのだが、いきなり自分の愚痴が始まる。

あたし自身がフリーアルバイターのような立場なので、急に仕事がなくなったらどうしようと日々おびえております。

小説やエッセイの印税が入ってきて、テレビに出たりこうやって新聞で人生相談したりで、一般の「フリーアルバイター」より明らかに多額の稼ぎがありながらそれはないだろう?
さらに、

結婚でもして今の状況から逃げだしたいけど、子持ちの37歳じゃ条件が悪すぎる。いや、今の世の中、自分のことが精いっぱいで家族を抱える気概のある独身男は少数です。

男によりかかろうとする意識を当然のものとしているところがもうダメ。相談者はアンタの男へのぶらさがり願望を聞きたくて相談してるわけじゃないだろ。
しかも、肝心の回答ときたら、

今の状態はつらいだろうけど、絶望してはいけません。

そんなこたあ誰でも言える。毒にも薬にもならん。



とまあ、ひとしきり叩いてはみたんだが、最後にいいこと言ってるのでコレは褒めないとね。

余談ですが、このような就職難の格差社会をつくったのは誰なのか? 社会にも目を向けましょう。

この一文に溜飲を下げた。学者や評論家ではなく、かれらとくらべてお茶の間に近い位置にいる室井の口からこの言葉が出たという点に意義がある。