この醜くも美しい世界、#1

俺が何もしなくても世界は勝手に動いてる。遠くのどこかでは戦争やってて、相変わらずやめようとしない。犯罪だってなくならないし、どこにいてもいやな奴はいるもんだ。俺が何としたところでそんな世界は良くも悪くもならない。

世界と自分が切り離されている感じ。冒頭のタケルのセリフに漂う虚無感が時代の気分を感じさせる。女子たちには掃除サボリの言い訳として片付けられたようだが、それだけでもないようだ。このあと、タケルはリョウにこんなことを呟く。

無駄なことに一生懸命。何かしなきゃ、って気持ちはあるんだけど。

そして、小さな運送屋のオヤジという身分に満足している居候先のおじに対してこんな感想を言う。

上昇志向がないんだよな。やればできるのにさ。

それを受けたリョウのセリフがイカス。

前に進むばかりが正解とは限らないんじゃないかな。

どうやらタケルは自分がやるべきこととか、生きる意味とかを探しつつ、それが見つからないからおちゃらけて日々を凌いでいる様子。そしてリョウはタケルの苛立つ気持ちを理解しつつ、一歩先からタケルを見ているような感じがする。

ひょっとして、宮台真司の言う「成熟社会」に取り残された男の子たちの憂鬱、てな話に通ずるのだろうか。このへんを突っ込んで描いていけば新しい視点が開ける気がする。

でも後半、ヒカリの登場でタケルは生きる「意味」(=ヒカリを守ること)を見つけてしまったような。これでは新鮮味がない。「意味はないけどそれでも生きていくんだ」的な展開に行ってくれると個人的には面白い。

ま、ヒカリたんがいてくれれば満足なのだが(ぉ。