噛み付く相手は、

内田樹
http://blog.tatsuru.com/2007/07/24_0925.phpのエントリに対して、ぼくが付けたブクマコメントがこれ。

ホームレスやネット難民は「本を読んだり、音楽を聴いたり、麻雀をしたり」できないし「手近なバイトを探して来てくれ」る人がいる共同体も無いんだよ。「金のない人間の気持ちがわか」らないなら分かるよう努力しろ

で、上記エントリを取り上げているid:inumashさんのエントリhttp://d.hatena.ne.jp/inumash/20070724/p1に付けたコメントがこれ。こっちも結果的に内田批判になってる。

同意。内田樹はそんなに言うなら自分が今の職と家を捨ててグッドウィルででも働いてネカフェに住めばいいんです。それを10年続けてなお「金の無い奴の気持ちはわからないね」と言い放てるなら白旗上げるよ。

ちょっと言葉がキツすぎたかと、今は反省している。でも削除はしない。


ま、オイラが噛み付かなくても、すでに先達が沢山いらっしゃるといえばいらっしゃるのだが。栗山さんのhttp://d.hatena.ne.jp/kuriyamakouji/20070727/p1のエントリがいい道標になるよ。

もう一噛み

内田さん擁護とみられるhttp://d.hatena.ne.jp/kinghuradance/20070725/p1のエントリにも。
文中で引用されている「メシコ人の漁師」。頷けるところはあるんだけど、いまの日本の貧困層にそのまま当てはめるのは不適切なんじゃないかなあ。たぶん、こうなると思うよ。

日本の工業都市。倉庫で出荷ラインが稼動していた。
派遣労働者が商品をピッキングしてきた。
その商品は普通に市場に出せる。それを見たアメリカ人旅行者は、
「すばらしい商品だね。どれくらいの時間、ピッキングをしていたの」 と尋ねた。
すると派遣労働者
「とても長い時間だよ」
と答えた。旅行者が
「もっとピッキングをしていたら、もっと商品が集められたんだろうね。おしいなあ」
と言うと、
派遣労働者は、
「これ以上労働時間を増やしたら過労死するけど、たしかに自分が生きるにはこれでは不十分だ」
と言った。
「それじゃあ、あまった時間でいったい何をするの」
と旅行者が聞くと、派遣労働者は、 だから余った時間なんて無いのにという言葉を呑み込み、
「日が上る前に無理やり起きて、それから仕事に行く。ネカフェに戻ってきても遊ぶ子どももいないし、シエスタする女房も時間も無いし。 夜になったら一人でフリードリンクを何杯も飲んで腹を膨らませて、作業確認票を財布にしまって、明日の仕事の予約を入れて…ああ、これでもう一日終わりだね」
すると旅行者はまじめな顔で派遣労働者に向かってこう言った。
「ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得した人間として、
きみにアドバイスしよう。いいかい、きみは毎日、もっと長い時間、
仕事をするべきだ。 それであまった給与は貯金する。
お金が貯まったら大きな投資をする。そうするとリターンがあり、儲けも増える。
その儲けで投資を2口、3口と増やしていくんだ。やがて大株主になるまでね。
そうしたら倉庫でピッキングをするのはやめだ。
自前の会社を興して、そこで設備投資をする。
その頃にはきみはこのちっぽけな工業団地を出て六本木ヒルズに引っ越し、
ロサンゼルス、ニューヨークへと進出していくだろう。
きみはマンハッタンのオフィスビルから企業の指揮をとるんだ」
派遣労働者は、だからこれ以上働いたら死ぬというのに、と思いながらも尋ねた。
「そうなるまでにどれくらいかかるのかね」
「二十年、いやおそらく二十五年でそこまでいくね」
「本当に? だって今の日給、残業代含めてこれだけだよ? それに今だって残業しているのに、これ以上働いたら過労死してしまうよ」
旅行者は愕然とし、
「…と、とりあえず、五十年くらい働き続ければ、アパートくらいは借りれるんじゃないかなあ」
「それで?」
「…さらに十年くらい働き続ければ、自分のお墓くらいは買える、かもしれないと、思う…」

ウィットのかけらもなくなっちゃったw
現代のワーキングプアには、舟も無ければ、半日漁に出れば家族が食っていけるだけの魚が取れる漁場もないのだ。